第3話 人類

【SFファンタジー】瞬間移動できるマシーンで無双状態

宇宙第4艦隊、戦艦ノーベルライナーが、キメラに敗北し、消滅してから、1か月が過ぎた。

宇宙の別の場所で。

ここにも、ハデスの追跡から逃れようとする人類の宇宙船があった。

「おい、これはなんだ!?」

「通信機です…」

「何だと!?このパトリック船での、ルールを忘れたのか!?」

就寝室に2人の言い争う声が響いてきた。

シヴィは目を覚ました。

起き上がって、時間を確認すると、まだ起床時間まで2時間ある。

言い争いは、どうやら隣の倉庫から聞こえてくる。

まだ、他の仲間が寝ている。起こさないようにそっと、部屋を出た。

倉庫の前に立つと扉が開いたままで、中の様子が見えた。

そこに、船長のメタと、親友のケインの姿があった。この2人が言い争っていたのだ。

「ワールドネットにアクセスすることは禁止しているはずだ!」

メタは怒り狂った表情をしていた。

「ネットへアクセスすることの、何が問題なのですか!?」

「ハデスの奴らに、我々の居場所が特定されるだろ!!バカ者!」

「アクセスしただけで、本当に奴らに見つかってしまうのですか!?僕はそうは思わない」

「4年前のことを、忘れたのか!?あの時、お前と同じくらいの若者がネットへアクセスして、ハデスに探知されてしまった。故郷ビエラは、奴らに見つかってしまい、遂には、我々は惑星そのものを失ったのだ。生き残ったのが、我々36人。全人口7400人のうち、たったの36人だぞ!」

「僕は、ネットへのアクセスで居場所が特定されたとは思えないです!」

「何だと!?」

「もう、限界なんです!いつまで待っても、宇宙艦隊が僕たちを見つけて、助けに来てくれない!」

「宇宙艦隊?」

「そうです!人類の誇るべき宇宙艦隊です。彼らがきっと僕たちを助けに来てくれる」

「そんな宇宙艦隊など、存在しない!」

「なんですって!?」

「もし、人類側にそのような軍隊があれば、すぐにでも我々を探し出し、救助してくれるはずだ。だが、宇宙を4年も航行している我々であっても、そのような軍隊らしきものと会うことはなかった」

「僕たちの居場所がわからないからです。ネットを使って、僕たちの居場所を伝えれば、きっと助けに来てくれるはずだ!」

「考えが短絡的だ!」

「そんな、言い方…」

「とにかく!ネットへのアクセスは、絶対許さん!そもそも、宇宙艦隊なんてのは、我々、絶望した人類の夢物語に過ぎない」

「じゃあ、このまま、奴らに見つかって、みすみす殺されろ、とでも言うのですか!?」

「みすみす、殺されはしない。事実、4年もの間、我々の居場所をハデスに特定されなかった。これは、ネットへのアクセスを厳しく制限し、電波を極力抑えてきた成果に他ならない。我々はこうやって生き延びることができたのだ」

「4年も、ただ、宇宙をさまよい続けていただけじゃないですか!?そんなことで何を得られたというのですか?」

「我々が、今すべきことは、1日でも長く生存すること。それ以外にない!」

「その方が危険ではありませんか!?我々がこの状況を打開できなければ、見つかるのも時間の問題。奴らの探知能力は日に日にアップデートされ、精度が増しているんですよ!」

「だからと言って、ネットへのアクセスは認めない!電波を発すること自体を禁止する!この宇宙船も、電波は使えなくしている」

「電波を使えなくしている!?じゃあ、どうやって外部の人間と交信するのですか!?」

「我々は外部と通信はしない」

「え!?」

ケインはあっけにとられた。

「!」

外で見ていたシヴィも、メタの言葉にためらいを生じた。

「必要無くなったのだ」

「それって。どういうことですか?この宇宙船、パトリックは、外部の人間と連絡のやりとりをしない?」

「生き残った人類など、他にいないからだ」

「え!?」

「我々だけが、唯一残された人類だ」

「そ、そんな!」

「これが現実だ」

ケインはメタに向かって反論した!

「人類は400年前、ハデスによる大規模迫害の時、地球から退避できたのは、300万人以上だったとされています。それから、400年も経過しているから、人の数はもっと増えているはず。皆、殺されてしまったなんて、とても考えられない」

「このパトリック船。受信機の方は機能させている。だが、この4年間1度たりとも、人が発信した電波のようなものは、確認されていない」

「そ、そんな、4年で1回も受信がなかった…誰もいない」

「それどころか、生き残った人らしき、気配も全くない。皆、ハデスに殺されたと見るのが正解だ」

「人類が僕達だけ…そんな…いつか、宇宙艦隊が僕たちを助けに来てくれるはずなのに…」

「もう一度、言うが。宇宙艦隊など、最初から存在しない」

メタはため息をついた。

「…」

ケインは愕然とした。

先ほどの勢いとは裏腹に、呆然として、何も言わなくなった。

メタは、部屋の隅からアルミボックスを取り出してきた。

そして、ケインが作った、研究用の通信機や部品などを箱に入れ始めた。

ケインは宇宙船の窓の外を呆然と見ていた。

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