第1話 プロローグ①


  ティキ!
  さっきのゴーレム倒すのに、
  何をモタモタしていたんだ
  あいつが投げてきた石がこっちに
  飛んできたんだぞ!
 」
「申し訳ありません!」
「頭に怪我をしたじゃないか!!どうしてくれるんだ!!」

勇者サクリオはティキを大声で怒鳴った。

「包帯を撒くことになったんだぞ!カッコ悪い、これじゃ、大衆の前で大恥だ!」
「で、ですが。サクリオ様は闘えないのだから、隠れていてもらわないと。あんなところで、フラフラ歩いていたら…」

  フラフラ歩いていただと!?
  戦況が知りたいから、
  確認しに来てやったのに
  フラフラとはなんだ!?
  そもそも、お前がもっと早く倒さないから、
  こうなったんだぞ!こら!
 」

昨日

僕たち勇者パーティは、人々に危害を加えているゴーレムを倒してきた。

帰る途中、寄る町で人々は僕たち勇者パーティを祝福してくれた。
その時は、サクリオ様も町の人達に手を振って、笑顔でこたえていた。

それなのに…

今朝

アジトに戻ったら…

サクリオ様も仲間も全員、僕に向かって
鬼のような目で睨みつけてきた!

仲間たちまで、寄ってたかって非難してきた!

「そもそも、お前!魔法が使えないって、あり得ないよな」
「そうだ!お前が魔法使えていれば、サクリオ様も怪我せずに済んだのに!」

僕は攻撃は得意としているが、魔法は全く使えなかった。
ここに来て、そんなこと持ち出されても…

「あれは、ただのゴーレムじゃないんです。防御力UPスキルをもっていて、やりにくい相手なんですよ」

  何だ、言い訳なのか?
  俺は戦えない代わりに、
  お前に金出して、雇っているんだぞ。
  払った分はもっとスピード感をもって
  勝ってもらわないと困るんだよ。
  王国内では、俺は偉大な勇者って
  通っているんだ。
  俺の名誉を傷付けることは許されないぞ。
  俺の名誉は、お前の命よりも
  大切なんだからな!
 」

サクリオはイライラしながら、部屋を出ていった。

すると、仲間の1人が声をかけてきた。
「サクリオ様がおっしゃることは、もっともなことだぞ」
また、もう1人の仲間も。
「サクリオ様に怪我させたことは、元老院でもかなり問題視されている。全て、あなたの責任よ。他の仲間は悪くない」

「え!?何で僕だけ?」

ティキは、頭が真っ白になった。
頭が真っ白な状態で、何とか帰宅した。

イスに座ったまま、暫く動けなかった。
肩を落として、色々考え始めた。

勇者の安全は、仲間全員で守るべきじゃなかったのか?
どうして、自分だけが、責任を負わされているのか?

そもそも、そもそもだけど…
みんなの前で、これを言ったら、相当やばそうなんだけど…

「闘えない勇者なんて、本当に勇者なのだろうか?」

ティキは思わず、呟いた。
ああ、言っちゃった。
まぁ、けれど誰も聞いていないから、大丈夫!

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